今回はスペシャルゲストとして、熱海市の齊藤栄市長をお迎えし、国の登録有形文化財「東山荘」にて、みがき隊ワークショップを開催しました。
講師より、文化財とみがきの方法について学び、市長と参加者が一緒になってみがきを実践しました。
開催日時:平成29年9月28日(木) 13:00-16:00
講師:建築家 太田新之介 先生(三島市文化財保護審議委員)
〔第1部〕 全体説明
明け方から降り続いた激しい雨は、昼前頃には嘘のように止み、瑞々しく輝いた東山荘の庭で市長をお迎えすることが出来ました。
まず、隊長が市長をご案内して、当時の使用状況や建築的特徴について説明しました。
案内後、市長は「今日初めて東山荘に来まして、感動しました」と大変有難いお言葉を頂きました。
〔第2部〕 ワークショップ(基本三部構成)
場所を本館1階に移し、みがき隊の目的とワークショップの基本三部構成の説明の後、市長と参加者が一緒になってワークショップを体験しました。
冒頭のご挨拶で「私は今日、学びに参りましたっ!」という市長の力強いお言葉に、誠実なお人柄が垣間見られ、市長と私達との距離がグッと近くなったような瞬間でした。
(1)座 学
①文化財とは
東山荘は平成28年8月、国の登録有形文化財に登録されました。
講師は登録プレートに刻み込まれている「この建造物は貴重な国民的財産です」を読み上げ、国・熱海市にとって大変価値があり、皆が共有できるものだと教えて頂きました。
東山荘は、80年を経て奇跡的に現存する別荘建築群で、昭和初期の建築文化や風習をありのままに現代の私達に伝えてくれています。
②みがきの方法
(a)材料:材料の種類によって手入れの方法を変えること
(b)程度:材料の汚れ具合や風化具合によって手入れの方法を変えること
(c)加減:材料の場所によって手入れの頻度を変えること(半年に一度、3か月に一度、毎日など)
(2)実践
特別に今回は、市長が来訪されているため、荏油(えあぶら)を使って、漆で塗られた床框(とこがまち)の手入れを行いました。
手入れ前と艶の状態が全く異なり、材料が秘めていた本来の美しさが蘇ったようでした。
(3)定着
みがき終わった後は全員で腰と足を伸ばして仰向けになり、木目の極め細やかな天井や温かみのあるあかりを灯す照明などを静けさ漂う環境で眺めながら、自分の身が建築と一体になったような感覚を味わいながら、今日のみがきの時間を振り返りました。
〔第3部〕 ディスカッション
市長の感想
「木材を水拭き雑巾で一回湿らせると汚れがあんなに浮いてくるなんて知りませんでした。」
「なんていうんですかね、自分の埃も取れたかなっていう感じもあって、気持ちがいいですね。」
「とにかく達成感があります。 大変勉強になりました。家でもやってみたいと思います。」
参加者の声
「立場を越えて皆で一緒にみがくという和気あいあいとした空気が楽しかったです。」
「市長が文化財保護について、すごく考えていることを強く感じて、とても嬉しかったです。」
「市長がみがいている姿で僕らの気持ちも奮い立たされ、心躍る驚きと嬉しさを感じました。」
市長におかれましてはご公務のお忙しい中、東山荘にお越し頂き、誠にありがとうございました。
これからの文化財の一般公開に向けた動きに期待が膨らみます。
引き続き、みがき隊ワークショップを実施して、みがき隊の仲間をどんどん増やしていきましょう!