紙の上の建築

先日、「紙の上の建築 日本の建築ドローイング」展に行ってきました。

この展覧会では、大阪万博以後1970年代からCADが普及する1990年代にかけて、時代の建築家が描いた様々なスケッチや図面、インスタレーションが展示されていました。

細心の注意を払って仕上げられた図面は、線一本からドラフトマンの緊張感が今なお伝わってきました。

エアブラシやドローイングを駆使して描き出された建築の姿には、膨大なエネルギーが投入され、建築を造り上げる為に伝達すべき情報量を、はるかに越えたメッセージが込められている事を感じました。

中でも、構想の初期段階に建築家の発露で勢い良く描いたスケッチや、ぺーパーナプキン一枚に無造作に表現した姿に、建築の完成した姿がすでに投影されていて、設計プロセスを垣間見る事ができました。

近未来、建築分野にもAIが導入され、最善の設計プランと、最良の施工の選択を委ねる時代が来るとしても、鉛筆を手に姿・形を描き、身体感覚として思考した建築を体現化する作業は、失ってはいけない大切な営みであると感じ、会場を後にしました。

 

紙の上の建築 日本の建築ドローイング  国立近現代建築資料館

(写真上:展覧会場入り口)
(写真下:ドローイング作品 図録より)