今年最初の名建築・みがき隊は、国の登録有形文化財「東山荘」にて、ワークショップを開催しました。 講師より、文化財とみがきの方法について学び、寒さを吹き飛ばすように、参加者一丸となってみがきを実践しました。
開催日時:平成30年2月13日(火) 13:00-16:00
講師:建築家 太田新之介 先生(三島市文化財保護審議委員)
〔第1部〕 座学
「東山荘」が貴重な国民的財産である登録有形文化財となった経緯や、日本建築が様々な文化や当時の生活環境と関わり総合芸術となっていること、手入れにより次世代に継承することの大切さを学びました。
(写真左:講義風景)
(写真右:国の登録有形文化財の銘板)
〔第2部〕 実践
今回は初参加者の中に大工さんや左官屋さんなど、実際に建築に携わっている職人の方々がいらっしゃいました。
普段お使いのコテや金槌を雑巾にかえて、磨きに励む職人さんたちに、講師のご指導にも熱が入ります。
荏油(えあぶら)で漆塗りの床框(とこがまち)の手入れ方法と、廊下の床の木目に沿って手入れをする方法を学びました。
(写真左上:荏油で床框の手入れ)
(写真右上:講師より左官職人さんへの説明風景)
(写真左下:荏油で廊下の床を手入れ)
(写真右下:長押の手入れ)
〔第3部〕 定着
参加者皆さんの感想をシェアし、質疑応答では、みがきの頻度についての質問があり、みがき過ぎにも注意が必要なこと、素材を知り、素材にあった手入れ方法があることを学びました。
同じ柱でも、特に面皮柱などの素材や使われている場所によって扱い方も変わるのだそうです。
そして、みがき終わった後、恒例の定着の時間を過ごしました。
肩を寄せ合って仰向けになり、名建築と一体になってみがきの時間を振り返りました。
(写真上:面皮柱の扱い方の説明風景)
(写真下:定着の風景)
参加者の声
「みんなで建物を磨きながら、この材は何か?とか話をして、知ることの楽しさを感じました。」
「いつもはどこかを掃除するとき必ずホームセンターで色々薬剤を買っていましたが、結局木を傷つけていたのかなと思います。水とお湯を使うというシンプルな方法はとても勉強になりました。」
「今回は左官職人さんが来られていたので、先生は今までには無かった視点で職人さんに説明されていたので、とても勉強になりました。」
「今まで柱の磨き方とか拭き方を考えたこともありませんでした。今回とてもいい勉強になりましたので仕事に生かしていきたいと思います。」
「建物は人が居てこそ建物なんだなと思いました。建物と調度品や人との調和も感じましたし、お互いに与え合うような関係があるんだなと強く感じました。」
「木肌を触ると気持ちのよい感覚も味わえました。荏油を使った所がこれからどう変化しているのか楽しみです。」
これから、みがきのトレーナー養成とともに一般公開に向けて、みがき隊の仲間の輪がどんどん広がっていければと思います。