千年杉

先日、岩手県にある『えさし藤原の郷』に行く機会がありました。ここは、古代から中世にかけて、奥州藤原氏の偉業と東北の文化を学び体感できる歴史公園です。

園内を順路に沿って回っていると、ある1つのものに目が釘付けになりました。それが『延命千年杉』と名付けられた樹齢1000年の古代杉です。(直径:最大4.2m・最小1.3m、長さ:4m、重さ:11トン)

 

約2500年前、この杉は山形県と秋田県の境にある鳥海山の噴火により火山灰に埋もれ、道路工事の際に発見されたそうです。
つまり、縄文時代に芽吹いた樹木になり、現在は御守りとして、えさし藤原の郷に寄贈されています。

私は暫し立ち止まり、幾重もかかる年輪の造形美に酔い痴れてしまいました。
オーラというか、その存在感は圧巻で、見ているだけで引き込まれそうになりました。

人は各時代を跨いで継承されてきたものに神々しさを感じるものだと思いました。

現在、みがき隊ワークショップでの学びの場となっている名建築も同じで、各時代の政治や生活環境の変容、また戦争や震災、風雨に晒されながらも耐え忍ぎ、現在まで遺されています。

それは、各時代の先人が遺すべきものの価値を認識し、伝統技術をもって大事に保存継承してきたからだと感じています。
つまり、貴重な文化財を後世に遺せるかどうかは、今を生きる私たち次第であると感じています。

みがき隊がその一翼を担えるようにこれからも努めていきたいと思いました。



記事投稿:名建築・みがき隊チーフ 今野貴広