木に学ぶ

文化財継承は何よりも手入れが大切で、手入れで材料を知り、材料を知ってその扱いを知ることです。
そうした扱い方から、いくつもの材料で構成された建築の格を知ると名建築の価値が分かってきます。

第1回目の東山荘みがき隊のワークショプで、講師の太田新之介先生より、名建築の価値を分かるために手入れを通して材料を知ることが大切だと伺いました。

実際にワークショプでは柱や床板などをみがきますが、とくに木造建築の場合は適切な手入れを行うために木の種類を学ぶことが大切です。

ワークショップの参加者に、材名や材種の特色を理解してもらうため、木造建築で使用される代表的な木材を加工して教材をつくりました。

 

木材の一枚一枚に講師から墨で名前を入れて頂くと、不思議なもので幾つかの単なる木片だったものが、グっと親近感が増してきます。
名も知らなぬ花や、見ず知らずの人でも、名前を知ると距離感が縮まる感覚とも似ています。

木を手に取り木目を細かく見たり、手指で木肌や香りを確かめたりして木味を比べます。
硬くて重い材は見た目も重厚で、柔らかく軽い材は軽やかに見えます。

改めて、木が持つ個性が折り重なり木造建築の空間が構成されていく事を感じつつ、この木はどんな立ち姿なのか、漢字の由来は何なのかと、さらに興味が湧いてきます。

私たち事務局もしっかりと名建築の構成材を学びつつ、この教材を上手く活用したワークショップを企画していこうと考えています。