木の建築と日本のあかり

この秋、東山荘には様々なゲストをお迎えするにあたり、迎え入れの期間中、 みがき隊講師の太田新之介先生が所有する照明器具をお貸し下さいました。

この照明器具は、水晶殿改修にあたり太田先生がデザインされたもので、㈱YAMAGIWAさんのご協力を得て、本館一階広間に取り付けられました。

 

みがき隊のワークショップでは、みがき作業を終えた最後に、みなさんで座敷で仰向けになります。
作業で動かした体を伸ばして休めるとともに、綺麗になった空間でしばし静かな時間を過ごして名建築を体感する時間でもあります。

この時、普段はあまり見る事がない天井をしばらく見る事になるのですが、先日のワークショップの際、参加者から照明器具の蛍光灯が目に眩しいとの声がありました。

東山荘の創建当時の写真には、趣のある座敷に瀟洒な照明器具が写っていますが、現在では蛍光灯を用いた汎用的な和風の照明器具が取り付けられています。文化財としての東山荘に現在の照明器具はどうなのか、かねてからの懸案でもありました。

借用した照明器具にあかりを灯すと色温度や意匠も空間に馴染んで、蛍光灯に慣れてしまった現代の私達にはむしろ新鮮にさえ感じます。

夕暮れ時ともなれば暖かなあかりは、部屋の隅々に適度な暗がりをつくりだし、何とも言えない雰囲気に包まれます。
昭和初期の別荘建築の様相を残す東山荘で、かつて日本人が見たあかりの世界を垣間見た気持ちになりました。

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照明器具:Yamagiwa 日本のあかり「光珠」
http://biz.yamagiwa.co.jp/detail?id=5415