国の登録有形文化財「神山荘」ほか 見学会ご案内

五月晴れの新緑が美しい日、箱根にある国の登録記念物「神仙郷」にて神奈川県登録有形文化財建造物所有者の会(かながわ所有者の会)の総会が開催され、参加の皆様を見学会でご案内(5/18)しました。

総会の後に行われた記念講演会では、箱根町の鈴木文化財専任課長より、
「箱根町における登録有形文化財の保存と活用について」のご講演を拝聴させていただきました。

観光地である箱根における歴史的建造物は、文化遺産としての価値を生かしたまちづくりや観光資源として活用可能であるという特色がある一方、保存活用に関する条例や行政との連携といった課題がある事を学びました。

 

 

午後からの見学会は、朝方の雨で潤い充ちた緑に晴れ上がった空が美しい庭園内で、皆さんをお迎えすることができました。

神仙郷内にある国の登録有形文化財「神山荘」(通常非公開)では、箱根・強羅の別荘建築の中でも古い歴史を持つことや、各部屋の建築の特徴など、及川隊長の解説とともに巡りました。

 

 

さらに茶室「山月庵」(通常非公開)では、お茶の先生をされている小林紘子様から広間や小間の解説をしていただき、長田左官の長田幸司様からは土壁のお話を伺いました。

 

 

箱根美術館の日本間では、美術品を鑑賞できる貴賓室として使われて来たことや、長田さんに改修工事の際、壁の色合わせなど当時にご苦労されたエピソードを伺いました。
部屋の中で感じた品格も、多くの匠の技に支えられているからこそだと実感しました。

参加者の皆様は文化財に高い見識をお持ちの方たちでしたので、普段なかなか聞くことができないそれぞれの分野の専門家の方からの視点でお話を伺うこともでき、とても勉強になりました。

また、見学の際にはこういう所に注目されるのかと私たちも学ばせていただく部分が数多くあり、今後のみがき隊活動にも活かしていければと思います。
文化財の利活用と保全の大切さを改めて感じた有意義な一日でした。

 

(写真上:記念講演会)
(写真中左上:庭園ご案内風景)
(写真中右上:「神山荘」上の間にて)
(写真中下:「山月庵」広間にて)
(写真下:箱根美術館本館3階 日本間にて)

 



記事投稿:名建築・みがき隊事務局 日野美奈子