11月16日、ドイツ、スウェーデン、ポルトガルなど5か国から、日本人を含む約40名の方々が来訪され、熱海・東山荘(国の登録有形文化財)と旧日向別邸(重要文化財)の2つの建物を見学されました。
東山荘は通常非公開ですが、旧日向邸を所有する熱海市からのお声かけで、隣り合う二つの文化財の合同見学会が初めて行われ、管理者の方々と共に、みがき隊事務局も受け入れに参加させて頂きました。
二つの文化財は、立地環境や創建の時期、施工会社も同じで、まるで兄弟のような存在ですが、建築の用途や形態、材料や色合いなどは自ずから異なっています。
案内をしながら、それぞれの個性特徴が認識でき、合同見学の面白さを実感しました。
東山荘では、事務局で準備した「木の教材」(11月14日投稿「木の教材づくり進行中!」)を用いて、部屋の各所に使われている木の材料についてお伝えしました。
海外の皆さんは木板を自ら手に取られ、色・手触り・重さ・香りなどを五感で興味深く感じ取られていました。案内人が木の名前を読み上げると、「キィリ?」「ヒ・ノ・キ?」と日本語の名前を自ら口にして周りに確認されている姿がとても印象的でした。
豊富な木を使って形づくられる、日本の木造建築の面白さを、少しでも感じて頂けたと思います。
ドイツ人建築家のブルーノ・タウトが設計した旧日向邸の地下室は、3つの異なる部屋の連続が面白く、往時の社交の姿を彷彿とさせる空間です。
しかし、残念ながら創建時に見えたと思われる雄大な海の景色が、現在は隣地からの大木によって遮られてしまっています。
一方、旧日向邸より少し高い位置に立地する東山荘からは、今なお雄大な相模灘を眼下に収めることができます。
「OH!ワンダフォー!」
晴天に恵まれ澄み切った秋空のもと、目前に拡がる海景に皆さんは歓声を上げ、庭ではカメラを片手に立ち尽くし、建物の中からは座敷に腰を下ろし、ゆったりと景観美を堪能されていました。
今回、二つの文化財の共同見学を契機に、近い将来この一帯が熱海市の文化財エリアの1つとなって、より多くの方々が日本の名建築を体感できる場になったら嬉しいと思います。
(写真上:東山荘本館前庭 相模灘を望む)
(写真中:東山荘本館1階 名建築・みがき隊の木の教材を説明中)
(写真下:東山荘本館2階 相模灘を眺めながら案内中)
※旧日向別邸は撮影禁止のため未掲載